子孫へのタイムカプセル 庶民のブログは後世に残るだろうか?

(この記事は2008年11月24日に私のブログに投稿した記事の転載です。)

2008年は源氏物語の存在が記録の上で確認されたときから1,000年を迎える源氏物語千年紀とかで、メディアにも多く取り上げられ各地で記念イベントが催されているようです。

そのニュースを聞き、私のような「市井の名もない一般市民の個人ブログ・コンテンツは後世に残るのだろうか?」と、ふと思いました。

紙に記録されたコンテンツとは違い、デジタル化されたWebコンテンツだから普通には虫食いでボロボロになることもなく劣化や損傷がないから、未来にも容易に残るように思えますが、果たしてそうだろうか?

ブログが誕生して10年程(2008年当時)、広く普及しだしたのは、まだ5~6年です。 Googleは世界中のあらゆる情報を集めつくすと豪語して、何10万台という分散サーバーに日々情報を蓄積しているそうです。 そのGoogleも創業してまだやっと10年です。

ブログ記事も含め、Web上のコンテンツは各企業(ポータルサイト)のサーバーの中に蓄積されている電子データーです。 つまり、自分が契約している企業が将来に渡り、何年間存続するかによって、自分のブログ・コンテンツの寿命が決まってしまうことを意味しています。 

企業の栄枯衰勢はよく30年と言われていますから、ましてやインターネットの世界は10年後の予測もできません。 デジタル・コンテンツだからといって後世に残るとはとても言えないようです。 逆に紙ベースのコンテンツよりは、よほど簡単に相手(企業)の都合(倒産など)で消されてしまう可能性があります。
つまり、個人ブログは何もしなければ後世には残らないことになります。

ブログは子孫へのタイムカプセル

私は、父と早くに別れてお爺さん子でしたが、その祖父も私が中学生の時に亡くなりました。 祖父の左腕に日露戦争で銃弾が貫通した傷跡が残っていました。太平洋戦争では祖父は可愛がっていた末息子(私の叔父)を神風特攻隊で失っています。 よほど辛い体験だったのか祖父から戦争の話を一度も聞いた記憶がありません。

激動の明治・大正・昭和を生きた祖父はどのような想いや考え方を持っていたのだろうか?  団塊世代の私は今頃になって、そんな祖父や父母の生き方、考え方、想いをもっと聞いておけばよかったという気がしてなりません。

そのような意味で、50年後、100年後に私の孫や曾孫が今の私の年頃になった時に、自分に近いルーツの人間を知りたいと思うかもしれません。
ブログは「子孫へのタイムカプセル」として格好な橋渡しメディアになり得ます。 

ブログを運営しているポータルサイトは何10年も存続していないでしょうから、自分のブログ・コンテンツは自分でセーブしてタイム・カプセル化しておかねばならないということになります。 ひょっとしたら「個人ブログのタイムカプセル化」はシニア向けのビジネスとして成立するはずです。

ブログを書き始めたのは、そんな動機からではありませんでしたが、定年退職後の張りあいとして、自分の記録として、書くことが好きで誰かに読んでもらいたいのが本音で始めたブログでしたから、自分の子孫が私のブログを読んでくれるかもしれないと勝手に想像をたくましくするのは面白いことです。

現代は市井の文化遺産が伝承されない!?

現在では市井の一般の市民のブログやホームページなどは全てWeb上でデジタル化されて管理されている。その、いわば「市民文化のデジタル遺産」は市民の死後はブログやサーバーの利用料などを管理会社に継続して払い続けるか、個人が強い意思をもってタイムカプセル化して子孫に引き継ぐなどをしておかないとあっという間に消えていくことになる。

ということはインターネット以前の「紙に記録」した時代は、紙であるがゆえに市民文化の記録が自然と何世紀にも渡り引き継がれており、「古い文献の新発見!」などのニュースが流れたりした。

ネットとデジタル時代の今は、市井の個人の文化遺産(生きざま、思い、暮らしぶり、親子の情など)がデジタル化されているが故に個人の死後にデーター管理会社への料金未払いや管理会社の倒産・撤退などで大量に消えて行っています。

市井の個人のブログやネット上の記録や発信物は後世へ向けた貴重な文化遺産(タイムカプセル)であるはずです。
しかしながら現状では著者の死後に残された家族が強い意志をもってネットからダウンロードし保存しておかない限り、大半がネットで霧消してしまう。

これは大きな問題ではないだろうか? デジタルデーターは一旦消えると復活はできない。
国としても「個人のデジタル遺産」をどう守り未来に継承していけるのかを検討すべきではないだろうか。

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