東日本大震災時の個人記録・思い出

(この記事は2011年03月22日に私のブログに東日本大震災直後に投稿した記事のアップデートです。)

東北関東大震災(その後「東日本大震災」の公式名となった)から10日が経った。 直接の被災者ではない私自身も何ともいえない緊張感と神経過敏な状態がつづいている。

大津波による悲惨な有様に驚き、嘆息し、一瞬にして家も何もかも失ったが命があれば何とでもなると健気な姿勢に感涙し、行方不明の息子を探す年老いた親御さんが問われても息子の名前は言いたくない(言うと希望が消えるから)との切ない姿に涙した。 今日は10日目にして80才のお祖母さんと孫が生きて見つかったとのニュースに思わず拍手した。

これが首都圏が起きていたらと思うとそら恐ろしい。この未曾有の大震災に今自分が感じていることや気になったことを記録としてブログに残しておくべきと久し振りにキーボードを叩いている。

私はネットショップを運営しているが、3・11の地震のとき、相模原市の3階建て事務所の3階に居たが、60数年生きてきて何度も地震を経験しているが初めて恐怖を覚えるほどにビルが揺れた。ビルが倒壊するのかもと恐怖を感じたのは初めて、揺れが収まりビルの前の駐車場に逃げた。停電になり携帯もつながらない。情報を得ようと自家用車の中でラジオを聞いている最中も車が余震でグラグラ揺れていた。 事務所を切り上げて自宅に車で戻る途中も道路信号が消えていて大渋滞だった。 八王子の自宅は棚の上の荷物が落ち本などが散乱してた程度で停電もしておらずほっとした。

ネットショップは注文いただいた商品をキチンと日時指定どおり届けるのが使命だが、その日は宅配便は出荷がストップとなり、お客様へお断りのメールを打つので大わらら。電話はつながらないがメールが生きていたのが助かった。 その日以降も東北・北海道向け宅配便は未だに開通していない。 集配中止の地域以外についても配達は継続しているが混乱により、通常通りの配達日時指定がお受けできない状況になっている。

道路・交通事情や宅配業者の輸送力の低下、ガソリン逼迫、関東地区の計画停電の影響などにより配達遅延が多く発生している状況だ。 3月の新入学や移動引越しのお客様も多く、引越し日に寝具など直ぐに要るものが届けられず、お詫びや調整に忙殺された10日間だった。 注文キャンセルも多かった。

それでも被災地のことを思えば、数日遅れは仕方ないな、大変だが頑張れと言ってくださるお客様も多く、まだまだ日本人は共感性が高く捨てたものではないと嬉しい。 ある大手さんから被災地への応援者を派遣するので直ぐに布団セットをまとまった数を用意してくれとの注文もあり、緊急災害用として卸販売業者に緊急出荷してもらった。 また、あるお客様からは3/19に商品が届かないとクライアントとの商談が破棄されるので何とかしてくれと泣きつかれ、赤字覚悟でそれこそ本当に「赤帽」便で何とか間に合わせた。 そんなこんなで私の商売もまだまだ混乱がつづいている。

この間の最大の恐怖は福島第一原発の事故だ。 原子炉が破壊されて大量の放射能が飛散すると、日本は完全に沈没する。 東北太平洋岸の津波による破壊的経済打撃に加え首都圏の経済も完全に麻痺してしまう。 そんなことになったら、日本は再生どころか、死んでしまう。 全世界に与える影響も計り知れない。

仕事中もTVを付け放しで危機的状況の推移が気になった。 自衛隊がヘリコプターで海水を汲み上げて原子炉上空50mから放水している、放射能量を気にしてやむを得ないのだろうが、国家の一大事だからもっと近づいて放水しないと効果ないだろうと気を揉んでいると、数日後に東京都消防庁の屈折放水塔車というのがありピンポイントで7時間も連続放水できてある程度の効果があった。50mも伸ばせる生コン圧送車もあるとか。 なんだ、そんな有効な物があるなら、もっと早く出してくれと憤慨したり。

まだ、危機的状況から脱していないが、あらゆる手立てを尽くして何としても収束させて欲しい。 こういう危機には政治の優れたリーダーシップが必須だ、枝野官房長官は説明能力も責任感もあり期待し、後は東電の現場リーダーが優れていることを祈るしかない。 それにしても原子力安全保安院とはどんな組織か、お役所的監視役では解決力はないだろう。 表に出てこない東電の現場リーダーや技術陣がしっかりしていることを祈るのみ。

それにしても、2重3重の安全対策がされているはずの原発が、津波の影響とは言え、浸水で予備のディーゼルエンジン発電機が動かなくなり、原子炉の冷却能力を失ったのが全ての原因とか。 福島第一原発は40年以上前に建設された原発だが想定以上の津波だったとは言え、最初から浸水はない前提で作られていた、つまり浸水対策(防水機能)がされていなかったとは「想定以上」で済む話ではなく、お粗末だ。 日本では原発はもう作れないかもしれない。

海外メディアが国難の日本をどう伝えたか、も気になった。

東日本大震災時の海外メディアの反応

 

上の写真は英紙インディペンデントの一面に掲載された「がんばれ日本、がんばれ東北」

東北関東大震災 海外メディアの反応 (追加アリ)

東北関東大震災に対する海外の反応

 

以下は当時の新聞各社のネット記事からの<抜粋>です。(既にネット記事は削除されて検索できなくなっています。)

[asahi.com] 米各紙、日本人の「がまん」「地震への備え」に注目

「日本語には英語にはないガマンという言葉がある」。そう指摘したのは阪神大震災を取材したことがあるNYTの元東京支局長のニコラス・クリストフ記者だ。「日本の立ち直る力と忍耐力は立派で勇気のあるもので、来る日でも見ることができるだろう」とブログで書いた。

[産経新聞/イザ!] 「国民の強靱さ」称賛 ルース米大使

ルース駐日米大使は14日、記者会見し、「難局に対して日本国民は強靭(きょうじん)さを示し、礼節を保って互いに助け合っている」と述べ、東日本大震災の被災民らの落ち着いた行動や政府の活動を称賛、菅直人首相が「戦後最大の危機」とした被害にも「日本人は対応能力を持っている」と激励した。

[読売新聞] 英紙には「がんばれ、日本。がんばれ、東北」

インデペンデント紙(13日付)は1面の全面に大きく「日の丸」のイラストを掲載し、日本語で「がんばれ、日本。がんばれ、東北」と書いた。デイリー・ミラー紙(14日付)は1面の題字下に「日本、みなさんは一人じゃない」とやはり日本語で書き、社説では「日本は復活する」と強調した。

これらの海外メディアの反応も胸にジーンと来る。 日本人には諦観に基づく自然な行動だが、私が見ていてもあれだけ悲惨な目にあった東北の方々の誰に怒るわけでもなく泣き叫ぶわけでもなく、苦しみを胸に秘めて生き抜こうとする姿が、とても立派に映る。 この日本人の特質は世界に誇れる強み資産かもしれない。

日本経済新聞の年初の特集コラムに「日本、第三の奇跡は起こせるか」という記事が数回に渡り掲載されていた。 第一の奇跡は世界に例のない無血革命を成し遂げた「明治維新」、第二の奇跡は太平洋戦争の焼け野原から経済大国へ復活した「戦後復興」、戦後60年経過し少子高齢化人口減少、袋小路に入って活力を失った日本、政治無能で失われた20年、この衰退から第三の奇跡は起こせるかというテーマだった。 

東北関東大震災は大きな不幸だが、日本人全体に自分のこととして危機感を目覚めさせた。復興にかかるお金は20兆円以上との予測も出ている。 財政破綻寸前の日本には、さらに重い負担がのしかかる。 年金など社会保障制度の破綻が見えているのに、政争に明け暮れ、選挙で負けるの恐れて何の責任も果たさなかった無能な政治も変わるだろう。 国民の心に危機の火が点ったから第三の奇跡が起こせるかもしれない。

被災地へ直ぐに行こうという若者が多数いて心強い。 義援金も多く集まっている。 しかし、中期的には復興費用20兆円を負担するためには、ばら撒き予算の子供手当てや高速道路無料化も無しとし、復興税導入や消費税UPも「ガマン」して受け入れるべきだろう。 復興には多くの人手と巨費と時間が掛かる。私と同じ年代の大量退職が始まった団塊世代も引退などしている場合ではない、経験と知恵と経済力、自由の身を活かして、まだまだ大きな貢献ができるはずだ。

我々には何党でもよいから、第三の奇跡をリードできる有能なリーダーと強力な救国内閣が欲しい。 経済的にはこれから苦しい時代がしばらく続くと思うが、復興税や消費税UPもガマンするとして、その先の第三の奇跡の姿が見えてこないとガマンも続かないだろう。

私にもやっと初孫ができる、将来世代に希望が持てる日本であって欲しい。 大震災後の神経過敏の為か、まとまりがなく筆が(キーボードが)走り過ぎたが、大震災で失われた多くの命のためにも大震災を転じて福と為さねばならない。

 

(参考データ)
・原形復旧にこだわるな(日経2011.3.21):関東大震災に際して帝都復興院総裁を務めた後藤新平が掲げたように「欧米最新の都市計画を採用して我が国に相応しい新都を造営せざるべからず」との意気込みが必要。

これまでの巨大災害による被害

 死者・行方不明者直接被害額(GDP比)
関東大震災
(1923年)
105,000人50億~70億円
(約13%)
伊勢湾台風
(1959年)
5,098人5,512億円
(11.4%)
阪神・淡路大震災
(1995年)
6,437人10兆円
(2.0%)
東日本大震災
(2011年)
20,000人超15兆~20兆円
(約3~4%)

 

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