下戸の損得勘定ー酒豪と下戸のルーツは?
私はほぼ下戸です。サラリーマン現役時代は師走は例に漏れず仕事関係、友人関係の忘年会、納会など飲む機会が多かった。
下戸の私にとっては12月は憂鬱な多くの宴会を如何に上手くやり過ごしながらも、仕事の区切りも付けていかねばならない確かに忙しい師走の月でした。
もう10年以上も前の記事になりますが、2008年12月6日日経プラスワンの「裏読みWAVE」に「酒豪と下戸 ルーツは」という囲み記事が載っており、下戸の私には興味深かった。
記事の要旨は次の通り。
・「東北や九州の人は酒豪が多く、中部や近畿の人は酒に弱い下戸が多い」というイメージを元筑波大学教授の原田勝二氏が調査で実証した。
・酒が強いか弱いかはアルコールを分解する酵素の働きに左右される。 それが遺伝的体質で決まると突き止め分布状況を調査した。
・酒に強い遺伝子型を持つ上戸の割合が多い都道府県は、秋田(77%)、鹿児島(71%)、岩手(71%)、福島(70%)、埼玉(65%)、山形(65%)、北海道(65%)、沖縄(65%)、熊本(64%)、高知(64%)と続き、特に東北、九州の比率で多かった。
逆に最も酒豪が少なかったのが、三重(40%)、愛知(41%)、石川(46%)、岐阜(48%)、和歌山(50%)、広島(52%)、大阪(53%)、岡山(54%)、富山(55%)と続き、中部、近畿の比率が高かった。
・下戸は白人や黒人には見られない黄色人種特有の現象。
下戸の遺伝子は「中国南部で突然変異により生まれ、それが渡来人として日本に移住し、混血しながら広がった」と解説している。下戸は黄色人種特有とは知らなかった。
・もともと日本土着の縄文人は白人や黒人と同様に酒豪ばかりだった。 だが、都を置いた近畿やその周辺など渡来人の”通り道”に下戸が増えたと考えられる。 ちなみに全国から人が流入する東京の酒豪比率は60%(19位)と全国平均だった。
なるほど、私の父方は京都で母方は愛媛だから下戸の私は渡来人のルーツのようだ。 私の息子は酒がいけるくちだから母方の血を引いているようだ。
それにしても下戸だった私はトータルで得だったのか損だったのか、勿論支払った莫大(?)な宴会費の元は取り返しようもなかったが、酒や仕事の上での失敗も起こしようもなかった。
定年退職後は、当然ながら仕事としての酒の席に出る必要もなくなり下戸の憂鬱は無くなった。 友人や会社OB関係の気楽な飲み会は続いています。 酒好きの友人が”普段は飲まないし、家でも飲まないのだが、飲んだ時の「ふんわり感、ぼーっとした高揚感」がなんともいえない気分だ”と言う。
下戸の私には終ぞ味わえなかった気分で、一度は味わって見たいものだ。 果たして、私の人生で「下戸の損得勘定」はどちらか、やはり宴会費の元が取れないことや酒の本当の楽しみを知らないので損が勝っている気がするが、酒の上での失敗もなく飲めない時間を有効に使った(?)から損得トントンかもしれません。
それにしても、黄色人だけに大昔に突然変異で発生したという「下戸の遺伝子」が今に続いているということは、進化論的には「下戸のメリット」も大きかったのだろうか。
そこでネットで調べてみると、お酒が飲めない「下戸遺伝子」の研究を行っている、北里大学の太田教授の意見として、
①偶然の可能性と、②何かの必然があった可能性の2つの可能性
があると考えられるが、何らかの必然があったのではないかと考えているそうです。
下戸がお酒を飲んで気分が悪くなるのは肝臓のアルコール中のアセトアルデヒドの分解能力が弱いためですが、逆にこの「アセトアルデヒドの血中濃度が高い」状態は、ヒトにとって毒ですが、病原体にとっても毒なので、下戸は感染症の予防能力が高い。
熱帯特有のマラリア原虫とか赤痢アメーバなど水田農耕地帯に特有の感染症に強かった。このためお酒に弱い人が相対的に長生きし下戸遺伝子が今に続いているのではという見解です。
まあ~、下戸で良かったのかもしれません。
(参考記事)
日本人は酒に弱くなるように“進化”…「下戸遺伝子」の研究者が語る“弱い方がいい理由”