伝説のパソコン:98FELLOW物語(7)ー超コンカレント開発のマジック(2)

超コンカレント開発のマジック(2)

 

コンカレント開発とは一連の開発プロセス間を直列ではなく、並列に走らせ、同時進行させて開発期間(開発リードタイム)を短縮する手法のことです。

このコンカレント化の範囲は、開発部内の各チームの同時並行(例えばマザーボード設計と構造設計の並行化)設計は当然ですが、生産管理・生産技術部隊と資材調達部隊とのコンカレント化も非常に重要なポイントでした。

何故ならば、月に10万台以上を一気に生産する生産ラインの構築や検査設備の準備に時間が必要なことや、何よりも大量の部品の調達が間に合わなければ、物は作れないからです。

98FELLOWの超速2ヶ月開発を実現するために採った主なコンカレント施策は次のようなものでした。


 

1.プロジェクトのミッション共有:目標(黒船パソコン撃退、2ヶ月超速開発、価格半減、5千台作り溜め、初ロット2万台)を鮮明な旗として掲げる。

ミッション共有、黒船パソコン撃退、98FELLOW


2.プロセスを合体やスキップさせてリードタイムを短縮:例:試作機(ES)をスキップし、量産先行機(PP)のプロセスと合体させる。

3.フロントローディングの徹底:リードタイム短縮をする代わりに開発におけるリスク分析を徹底し、あらゆるリスクをミニマムとする手だてを開発線表に前もって盛り込む。 リードタイム最優先としリスクの大きい開発手法は極力避ける。

4.「できる技術者」に担当させる:優秀なセンスの良い主任クラスの技術者を核としてアサインしチームリーダーとして専任させ集中してもらう。(他の掛け持ち開発や、雑用はさせない)

短期開発の成否は結局のところ核になる技術者のスキル、経験の深さ、センスの良し悪しに依存する場合が多い。

5.生産・資材へ開発部の生情報の開示を徹底:それにより、生産、資材が開発部の動きを見て「自律的な構え、予測アクション」が迅速にできるようにする。

6.ボトルネック工程のリードタイム短縮:絶対必要時間が長いプリント基板設計、構造金型、互換評価期間などの短縮を徹底検討。

7.管理サイクルを早く回す:デイリーベースの問題解決会議、手配変更、指示事項、技術問題などの情報を関係者へ即時に回す情報共有の仕組みを作る。手配の数や変更・改版も週単位で回す。

8.社内外の関係部門との協力体制の確立:事業部の技術部、ソフト部隊、社外のベンダー、協力先など関係部門との連携を密にし支援を受ける協力体制を敷く。

上記の具体例は次回にします。

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