パソコンの生産革命:PC-98BTOの事始め(第1章-8)ーWeb直販へ発展、そして終わりに。

2000年7月に導入した「ハイブッドBTO」と同時期にNECも個人向けにWeb直販サイト「121@store」を立ち上げネット直販を開始しました。

併せて、それまでバラバラだったNECパソコンのwebサイトを統合し総合パソコン情報サイト「121ware.com」を開設しました。

ネット直販を開始するに当たり、NECがパソコン直販ビジネスに乗り出すのは難しい側面がありました。
間接販売(販売店経由販売)が主力のNECにとっては量販店さんに大量にパソコンを売っていただいています。
そのため、量販店さんに脅威となる売り方や大々的な宣伝はできません。モデル名も新たに直販モデル専用の「Gシリーズ」と定義し棲み分けを行い、価格も量販店さんの実売価格以下では値付けできない制約がありました。

個人向けマーケットでは個々のお客様の満足度を如何に高めるかが成否を左右します。
NECパソコンのユーザーにパソコンライフを満喫していただくために、パソコンのサービス・サポートや使い方情報などの充実を意図したのが、その名のとおり121(One to One marketing)のパソコン情報サイトの「121ware.com」です。
121ware.comはNEC直販サイトのためだけでなく、多くの販売店さんにも販促・集客効果を期待したものでした。

現在もパソコンの使い方、問題解決のヒントなどの豊富な情報を網羅した有益な情報サイトになっています。

Web直販サイト「121@store」ではWeb直販の強みである豊富なカスタマイズモデルメニューを用意しました。量販店では売っていないオプション付きモデルなどはWeb直販サイトで購入ができるからです。

オープン時のWeb直販サイト「121@store」専用モデル
・デスクトップ:約9,000モデル、ノートブック:240モデル
・One Stop Shop化:他社商品を含む周辺機器、ソフト、サポート商品をセットにした用途提案モデルを用意。すぐに使えるように工場でセットアップして納入。
・納入リードタイム:最短4~6日(地域別)

 

パソコンの生産革命-98BTO

 

 

終わりに

以上が、この記事の執筆者達が1997年~2001年前半に関わったパソコンの生産革命:PC-98BTOの記録です。
当時の「PC-98BTOプロジェクト」の達成に尽力してくれた多くのメンバーの仕事の記録としても残しておきたいとの思いから記事にしました。

PC98シリーズは、当時は5つの国内分身生産会社で分散して、国内主体の開発および生産をしていました。その後、コモディティ化が進んだパソコンはさらに価格低下が進み海外勢との競争が激しくなりました。国内でトップシェアのNECでも全世界でトップシェアの出荷ボリュームを維持できる企業でないと生き残りが難しくなっていきました。

NECのパソコン事業はリストラを迫られ、2011年についにNECはパソコン事業を実質的に中国のパソコンメーカー:レノボに売却し、パソコン事業(NECパーソナルコンピュータ)はレノボの子会社となり、現在は米沢工場の1か所のみが頑張って継続しています。

「PC-98BTOプロジェクト」で鮮度ロスコストの削減、サプライチェーンの効率化などで大きな成果を出しましたが、残念ながらパソコン市場の世界的大競争には抗しようがなくレノボへ事業譲渡となりました。

事業譲渡となりましたが、98BTOの成果・ノウハウ・BTOの精神はNEC米沢工場で受け継がれてさらに進化しています。米沢工場はその生産性の高さを武器にNECブランドのパソコンはもちろん、最近はレノボブランドのパソコンも米沢工場で生産しています。

 

(第1章-2)の「何故、BTOプロジェクトが必須だったのか?」の問いの答えは、「価格競争力を高めるために、生産コストと流通チャネルの鮮度ロスを徹底的に削減し、パソコン事業の生き残りのためコスト競争力を大幅に高めることが必須だった」でした。

最近は「BTO」という言葉を余り耳にしなくなりました。
技術の進歩は驚くばかりです。情報デバイスの主力はパソコンからスマホに移り、さらにAI技術、高速通信5G、カメラ・センサー・顔認証などの最新技術がスマホを始め多くの情報デバイスや自動車に取り込まれつつあります。
また、サプライチェーンもますますグローバル化・複雑化しています。

そんな時代の急激な変化の物作りの中でも「BTOの精神」、つまり、
「顧客のニーズを満たしつつ売れるものを売れただけ作り無駄なコストを徹底的に削減するノウハウを確立し事業体質を強くする」
ための創意工夫は色々な企業分野で進化しながら今も続けられています。

 

Follow me!